視覚障がい者のためのHP情報
放送大学が提供するデータサイエンスコンテンツは、ご利用大学のカリキュラムや状況に応じてご利用いただけます。
放送大学データサイエンスコンテンツは、一部を除き文部科学省の支援により制作されています。
利用大学において指導教員を置き、授業科目を開設するに際し、当該授業科目の構成の一部に放送大学の教材を組み入れる。
利用大学において指導教員を置き、授業科目を開設するに際し、利用大学における授業科目の副教材として放送大学の教材を利用する。
放送大学が提供するデータサイエンスに関する講座は、受講生が自由に視聴することができます。また、この中から必修講座を決めることもできます。
※利用には利用契約が必要です。
※無料の利用者登録だけでご視聴いただけます。
放送大学は「インターネット配信公開講座」としてコンテンツを提供しています。
受講生には、付与されたアカウントを利用して各講座を視聴して頂くことになります。
大学・高等専門学校等の学生は、以下のプロセスで学習認定を受けることができます。
リテラシーレベルのコンテンツのみ、以下の団体割引を選択頂けます。
5講座セットで40人まで20万円
初期契約の後でも随時受講生を追加できます。
40名を超える場合は1名毎に5000円の料金がかかります。
例)48名の受講生が「導入」1講座を受講する場合:20万円+5千円×8名=24万円の料金が必要となります。
その他のコンテンツのご利用料金はお問い合わせください。
受講方法の詳細もご覧下さい。
まずは資料請求など、メールにてご相談ください。
放送大学が提供するデータサイエンスコンテンツは、ご利用企業様の社内教育の状況に応じてご利用いただけます。
放送大学データサイエンスコンテンツは、一部を除き文部科学省の支援により制作されています。
企業様において講師を置き、講習会・セミナーを開設するに際し、当該講習の一部に放送大学の教材を組み入れる。
放送大学が提供するデータサイエンスに関する講座は、受講生が自由に視聴することができます。
※利用には利用契約が必要です。
※無料の利用者登録だけでご視聴いただけます。
これらの講座は例です。今後、コンテンツは追加されます。
放送大学は「インターネット配信公開講座」としてコンテンツを提供しています。
受講生には、付与されたアカウントを利用して各講座を視聴して頂くことになります。
受講生は、以下のプロセスで学習認定を受けることができます。
リテラシーレベルのコンテンツのみ、以下の団体割引を選択頂けます。
5講座セットで40人まで20万円
初期契約の後でも随時受講生を追加できます。
40名を超える場合は1名毎に5000円の料金がかかります。
例)48名の受講生が「導入」1講座を受講する場合:20万円+5千円×8名=24万円の料金が必要となります。
その他のコンテンツのご利用料金はお問い合わせください。
受講方法の詳細もご覧下さい。
まずは資料請求など、メールにて事務局までご相談ください。
レベル別 講義コンテンツ
下記のレベル等は数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアムによるモデルカリキュラムに準拠しています。
この講座では、データおよびデータサイエンスを学ぶ意義を理解し、社会調査法の基礎を学ぶと共に、多彩な話題に触れ、そこで使われている課題と技術を学びます。
全8コマ(1コマ45分程度)
データ・AIが現代社会において活用され、様々な変化が生じています。これらの実例を紹介し、データ・AI利活用のための諸技術の概要と応用例を学びます。
この講座では、デジタル社会の読み・書き・そろばんである『データ思考』を育むデータリテラシーの内容を身の回りの社会の実例に沿って、分かり易く解説します。
データの特徴を読み解き、起きている事象の意味合いを理解できる能力(データリテラシー)の基礎を学びます。
データサイエンスを活用した社会で心得ておくべき、個人情報保護、倫理、バイアス、社会的影響やリスク、情報セキュリティを学びます。
統計解析ツールRを使って実際にデータを扱い、分析しながら、データサイエンスの分析手法の基礎と基本的な考え方を習得します。
データサイエンスが仕事や社会を変えようとしています。データサイエンスには、単にデータを分析することだけではなく、社会の価値に結びつけることまでが要求されています。そのため、課題解決に至る道筋を描く力も必要です。専門家による講演を通してデータサイエンスを概観します。
因果関係の確立は、ほぼすべての研究あるいは業務の目的と言っても過言ではないでしょう。統計を学ぶと、因果関係と相関関係は違うという注意がなされます。データサイエンスをより深く理解し、それを実践するために不可欠な、因果関係を確立するための正しい考え方とそれを活用するための技術を学びます。
この講座では、現代AIの基盤を支えるニューラルネットワーク(深層学習)技術の基礎を学びます。ニューラルネットワークは生物の情報処理様式からヒントを得た計算技術です。ここでは、ニューラルネットワークを構成する要素からはじめて、現代の画像処理技術の中心を担っている深層学習を学んで行きます。
※「ニューラルネットワーク概論」インターネット配信講座は近日公開の予定です。
機械学習概論は数学や計算機科学、脳科学といった分野の知識を結集した研究分野です。
この講義では、機械学習の基本的な手法や学習能力を向上させるための基本技術を理解するために、回帰モデルを題材として、汎化能力と正則化という技術を紹介します。最後に、正則化を応用したスパースモデリングについて学びます。
※「機械学習Ⅰ」インターネット配信講座は近日公開の予定です。
機械学習の基本となる4本の柱のうち「識別」、「次元圧縮」、「クラスタリング」といった柱について説明します。
これらの技術を理解するために、識別の方法と確率に関する知識を学んだ後、確率を使った一般的な手法である「ベイズモデリング」を紹介し、「教師なし学習」である次元圧縮とクラスタリングについて解説します。
※「機械学習概論Ⅱ」インターネット配信講座は近日公開の予定です。
放送大学における数理・データサイエンス・AI 教育プログラム
「データサイエンスリテラシープラン」「データサイエンスアドバンスプラン」 自己点検評価報告書
本報告書は、令和 3 年度より本学の科目群履修認証制度におけるプランとして実施している数理・データサイエンス・AI 教育の実施状況に関する自己点検評価の結果をまとめたものである。 教育プログラム授業評価アンケートにおける個々の授業の理解度や難易度は、通常の授業に比べてほぼ同程度かやや低い程度といえる。プログラムを構成する科目の理解度や難易度が反映されているものと推察した。アドバンスプランで理解度が低下しているが、授業科目の内容自体がリテラシーレベルに比べて高度になっていることが反映されたのかもしれない。
我が国では現在、政府が定めた AI 戦略 2019、その改訂版というべき AI 戦略 2021 に基づき数理・データサイエンス・AI 教育が推進されている。これに則り、大学及び高等専門学校における数理・データサイエンス・AI 教育プログラムのうち、所定の条件を満たした優れたものを国が認定する「数理・データサイエンス・AI 教育プログラム認定制度」が既に実施されている。「データサイエンス リテラシープラン」「データサイエンス アドバンスプラン」は、同制度を念頭に置きつつ、放送大学の特質を踏まえ放送大学でも展開可能な形の教育プログラムとして令和 2 年度より検討が進められ、令和 3 年度より実施されているものである。
放送大学は、大学としての教育を実施するために、放送授業、あるいはオンデマンド型オンライン授業として良質なものを体系的に制作し提供し続けなければならない。そのような授業の制作には、企画立案、制作準備、印刷教材の執筆と編集・印刷、放送教材やオンライン教材の制作・収録・編集という手順を踏む必要があり、企画立案から授業の開設までおよそ 3 年を要する。今回実施する運びとなった「データサイエンス リテラシープラン」「データサイエンス アドバンスプラン」は、国が定める条件を満たすように既存の授業を組み合わせて教育プログラムとして編成したが、今後、このプログラムの点検評価を通じて改善点を明らかにし、プログラムの改善を進めるとともに、新規の授業の制作にも生かしていきたい。
「データサイエンス リテラシープラン」「データサイエンス アドバンスプラン」の自己点検評価にあたっては、以下の各点を適切に評価することを通じて、教育プログラムとして改善すべき点を明らかにすることを目標とした。
「データサイエンス リテラシープラン」「データサイエンス アドバンスプラン」の少なくとも一方で必修科目または選択必修科目に指定されている科目の履修者数の推移から、データサイエンスに関心を持つ学生の動向を把握する。また、「データサイエンス リテラシープラン」「データサイエンス アドバンスプラン」の修了者数の推移を、同プランの前身である「データサイエンスプラン」の修了者数の推移とあわせて比較検討し、数理・データサイエンス・AI について体系的に学んだ学生の動向を把握する。以上の結果から、履修者数の増加に向けた計画の達成・進捗状況を評価する。
本学で既に実施している学生による授業科目評価の結果と、各授業科目の成績に基づき、個々の授業科目の内容についての学生の理解度を把握する。また、学生による授業科目評価では、授業に関わる多様な項目について評価している。この結果から、「データサイエンス リテラシープラン」「データサイエンス アドバンスプラン」を構成する授業科目についての課題を抽出する。
「データサイエンス リテラシープラン」「データサイエンス アドバンスプラン」を修了した学生を対象として実施しているアンケートから、同プランについて以下の各点を評価する。
放送大学は、授業とは別に、開発した教材を学外向けに広く提供している。これらの教材のうち、リテラシーレベルに対応するものの利用状況や、利用者からの意見を把握して、本学の数理・データサイエンス・AI 教材における学外から見た課題を検討する。今後、より上のレベルの教材の公開が始まったら、それらについての利用状況や意見も同様に判断材料とする。
また、学外の研究者に依頼して「データサイエンス リテラシープラン」「データサイエンス アドバンスプラン」について直接的な評価をいただくことも試みる。
「データサイエンス リテラシープラン」「データサイエンス アドバンスプラン」については、所定の科目を履修した学生に対してプラン(教育プログラム)の修了を認定する制度であるため、修了を目指して学ぶ学生の数をその都度把握することができない。そこで、両プランの少なくとも一方において必修科目または選択必修科目とされている科目の履修者数の動向から、データサイエンスに関心を持つ学生の動向を把握することを試みた(表 1)。この表から、社会統計学入門、Java プログラミングの基礎(オンライン授業科目)、C言語基礎演習(オンライン授業科目)の三科目を除き、履修者は増加傾向にあることがわかる。2020 年度ならびに 2021 年度はコロナウィルス感染症の世界的な流行により社会が大きな影響を受けた期間でもあり、そのことが履修者数の動向に影響を及ぼした可能性もなしとはしないが、理由はともあれ数理・データサイエンス・AI 関連分野の授業科目への関心はこの間高まっていたものと評価できる。必修ないし選択必修科目にオンライン授業科目は 4 科目が含まれている。このうち 2 科目は 2021 年度に新規に開設された科目のため、まだ増減の傾向を把握できない。残り 2科目は履修者が減少傾向にあり、オンライン授業科目が開設初年度に特に好まれる傾向があるのか、あるいは 授業内容が演習の要素を含んでいることから、単位取得の難易度が高いという評判が口コミで広がってしまうためなのか、今後検討を要する。
前身の「データサイエンスプラン」が平成 30 年度に開設されて以降、修了者数は年々着実に増加している(表 2)。本年度、「データサイエンスプラン」を見直し、国の「数理・データサイエンス・AI 教育プログラム認定制度」におけるリテラシーレベルに対応した「データサイエンス リテラシープラン」と、 同制度の応用基礎レベルに対応した「データサイエンス アドバンスプラン」の 2 つのプランに再編して新たに実施したところ、修了者数はさらに増加する傾向を示した。この 2 つの新しいプランが学習者の増加をもたらした効果については、実施初年度の状況のみでは十分に評価しがたいことから、今後も引き続き動向に注意していきたい。
表 2 修了者数の経年変化(科⽬等履修⽣を含む)
なお、⻑期にわたり計画的に履修する学生が多く在籍するという放送大学の特性を踏まえ、モデルカリキュラムに必ずしも適合していない「データサイエンスプラン」も引き続き履修可能としてある。増加傾向にあるとはいえ、2021 年度の修了者数でも本学の学生全体約 6 万人に対して0.1%、毎年の新入学者約 6 千人に対し 1%強に過ぎない。さらに多くの学生に履修を促す必要があると考える。履修者数・履修率の向上に向けた計画の達成・進捗状況履修者数について、計画では、2022 年度は「データサイエンス リテラシープラン」80名、「データサイエンス アドバンスプラン」40 名となっている。現在のペースで修了者が増加すれば達成可能な数字ではあるが、適宜広報を行うなどして計画の達成に努めることが望まれる。
「データサイエンス リテラシープラン」「データサイエンス アドバンスプラン」を構成する授業科目の成績分布を表 3(放送授業)ならびに表 4(オンライン授業)に示した。履修者に対する合格者の割合(合格率 1)の平均は約 67.4%、受験者に対する合格者の割合(合格率 2)の平均は約 85.4%である。2021 年度 2 学期は、コロナ禍の影響で従来通りの単位認定試験が実施できず、制限時間の遵守、テキストやノート等の参照禁止などを受験者の良心に委ねた自宅受験方式により単位認定試験を行ったものだが、履修者のうち受験に至らなかったものが相当数いたために、合格率 1 の値がこのように低くなっている。
表 3 教育プログラム構成科⽬(放送授業科⽬)の成績分布(2021 年度 2 学期)
表 4 教育プログラム構成科⽬(オンライン授業科⽬)の成績分布(2021 年度 2 学期)
自宅受験方式によりゆがめられた部分はあるとはいえ、合格率や、履修者のうち単位認定試験の受験に至る割合を科目別に検討することで、2 つのプログラムを構成する授業科目に対する受講者の理解度について、傾向を把握することができる。
表 4 に示した 4 科目と、「データの分析と知識発見(’20)」は、授業中に実習の要素を含んでいる。これらの実習や演習を含む科目の合格率はおしなべて低くなっている。合格率 2 が低いことから、実技を伴う科目では、学習に取り組んでも成果を得るに至らない学生が相対的に多いことがうかがえる。但し、オンライン授業科目と放送授業科目では「受験者」の定義が異なる点に注意が必要である。1 回授業を受けてその後学習を放棄する学生は、放送授業科目では(試験を受けていないため)未受験者にカウントされるが、オンライン授業科目では(オンライン授業のシステムにアクセスした履歴が残るため)受験者にカウントされる。
「解析入門」「初歩からの数学」「入門線形代数」の合格率は非常に低い。これは、受験率が低いことに大きく影響されており、いずれの科目も 1/3 以上の履修者が単位認定試験の受験を行っていない(この 3 科目は、今回評価対象とした科目の中で、受験に至った率が小さい方から第 1,2,5 位である)。それだけでなく、受験した学生の合格率(合格率 2)も、3 科目平均で約 80%と、低めの値となっている。
「社会統計学入門」「心理学統計法」「統計学」の合格率も全体的に低めになっている。いずれの科目も 1/4 弱の履修者が単位認定試験を受験せず、受験した学生の合格率の平均もやはり約 80%となっている。数学と統計学については、数式を扱う必要があることが一部の学生にとって抵抗になっているのかもしれない。統計学的な内容の最初歩を、できるだけ数式を使わず、身近な例を通じて教授する「身近な統計」では、受験率 78.0%、受験者の合格率 93.1%となっており、この段階であれば、努力して最後まで学習すれば高い割合で成果を得られること、一方でそのような難易度であっても 2 得割以上の履修者が中途で学習を断念していることがうかがえる。
受験に至る履修者の割合(受験率)と合格した受験者の割合(合格率 2)の相関は低い。それぞれの授業科目を分析単位とすることの妥当性は問題ではあるが、機械的に相関係数を計算すると 0.167 という値が得られる。「身近な統計」のように脱落者はそれなりにいても試験を受ければ多くが合格するという科目がある、といった状況が関係していると考えられた。この点を詳細に検討するためには、各科目の試験問題について分析する必要があり、それは今後の課題とする。
以上の検討から、当面、履修を開始した学生が単位認定試験受験を行えるまで学習を継続させる取り組みが必要であり、特に数学や統計学、数理系の科目など、数式を用いて授業が進行する科目ではそうした取り組みが重要であろうと考えられた。一方、オンライン授業科目など実技を含む授業科目では、学生がどのようなところを理解できていないのか把握して,それを踏まえて授業を改善することが必要と考えられた。これらの点をより詳細に把握して授業や教育プログラムの改善に生かしていくために、Learning Analytics の活用なども検討課題となろう。
全体的に、人文科学、社会科学系の科目に比べると評価が低い傾向が認められる。放送大学がこれまで実施してきた授業評価アンケートでは、授業科目の総合的な評価を、学習意欲や関心の増大、新たな知識や視野を得られたかどうか、科目全体の内容の理解度、科目に対する満足度の4項目から評価している。今回、「データサイエンス リテラシープラン」「データサイエンス アドバンスプラン」の少なくとも一方で必修科目ないし選択必修科目に指定されている 16 科目を対象に分析を行ったが、調査実施学期における対象科目の平均の評点を超えたのは、そのうち 3 科目に留まった。
放送授業について、評価項目間の評点の相関係数を計算した結果を表 5 に示す。表 5 教育プログラムにおける必修ないし選択必修科⽬(放送授業科⽬)の授業評価における評価項⽬間の相関(各授業科⽬の開設学期における調査結果)
明らかに認められるのは、履修者、受験者が多い科目はどの項目でも評価が低くなる傾向があったことである。履修者や受験者が多いということは、放送大学の場合、学習意欲が高い学生が集まったというよりは、何らかの理由により(例えば、心理学を学ぶためには心理統計学を勉強しないといけない、といった形で)学習しなければならないという動機付けがなされている科目であることが推察され、そのような科目では学習効果が低下することを示唆する結果である可能性がある。
次いで、難易度に関する評価が総合的な評価に強く影響している可能性を読み取ることができる。難易度が適切だと評価された科目ほど、授業内容の理解度や科目満足度が高く評価され、また、関心が高まったとされているということである。この調査では、難易度については適切であるかどうかという形で聞いており、適切でないことがすなわち難しすぎるというわけではないが、自由回答記述において難易度に言及したものの中で、易しすぎたという回答は少数に留まり、大半は、難しすぎた、もっと基本の所から説明してほしい、など履修者にとって難度が高かったとする意見であった。
難易度の他、教材の量が適切であること、放送授業や印刷教材の内容が適切である(わかりやすい)こと、通信指導の有用性や試験の妥当性が、評価に比較的強く関わっていたものと考えられた。
評価とあまり関係がないと認められたのは、合格率、放送授業を十分に視聴したかどうか、授業内容がメディア(テレビやラジオ)の特性を生かしたものであったか、の各項目であった。テキスト(放送大学では印刷教材と称している)を熱心に学んだことが評価と比較的強い相関を示したことと対比すると、数理・データサイエンス・AI 分野を学ぶ学生にとって、放送授業はそれほど重要ではなく印刷教材を重視して勉強している可能性が考えられた。
数学系の科目はいずれのプラン(教育プログラム)でも必修や選択必修ではないためここでは取り上げなかったが、統計学関連の科目は概して評価が低い傾向があった。ただ、理解度において「身近な統計」が「統計学」や「社会統計学入門」より低評価となったことについては、「身近な統計」では初学者の受講が多く内容を難しく感じる受講者が多かった点を考慮する必要がある。
表 6 に、アンケートにおいて 5 段階評価された各項目について、評点の算術平均値を、授業評価アンケートと尺度を揃えるために 4 点満点(最低点は0点ではなく1点)に換算して示した。
表6 修了者アンケート結果の概要
授業評価アンケートにおける個々の授業の理解度や難易度とほぼ同程度かやや低い程度といえる。プログラムを構成する科目の理解度や難易度が反映されているものと推察した。アドバンスプランで理解度が低下しているが、授業科目の内容自体がリテラシーレベルに比べて高度になっていることが反映されたのかもしれない。
評価が低かった項目であり、今後改善を要する点である。問題は、学習者によって関心の方向性が大きく異なる点である。例えば、野球選手の打撃成績、投球成績などはデータ分析の材料とされやすく、「身近な統計」でも取り上げられているが、自由記述の中には、自分は野球には関心がないので何のことだかわからなかった、というものがあった。限られた時間の中で全ての学生が満足できる事例を取り上げることができるかどうか、あるいはそれぞれの学生に会った事例を題材に学ぶことができる教材や授業を制作できるかどうかが課題になると考える。
授業評価アンケートにおける評価とほぼ同程度かやや低い評価になったと考える。理解度や難易度と同様に、プログラムを構成する科目についての評価が反映されているものと推察した。
評価が低かった項目であるが、自由記述を検討してもその理由は判然としなかった。修了者の進路、活躍状況等「データサイエンス リテラシープラン」「データサイエンス アドバンスプラン」の修了者の職業構成、年齢構成を表 7 に示した。
表7 修了者の年齢構成
放送大学の特性を反映し、既に職に就いているかたが大半を占め、現在の仕事に役立てたいという意図が、選択式で回答していただいた学修成果の活用可能性や(仕事での実務を挙げたかたが、リテラシープランで 24 名中 12 名、アドバンスプランで 14 名中 9名)、自由記述からはうかがえた。退職後のかたは 6 名であり、自由記述の内容からは純粋にこの分野の内容に関心をお持ちであることがうかがえた。「上記以外(無職)」は 40代が2名、60 代が3名であり、このかたがたは今後の就職に役立てることを意識している可能性があるが、職業や就職に関連する内容の回答は見られなかった。
なお、学修成果の活用可能性として仕事での実務を挙げたかたとそうでないかたの間で評価結果を比較したところ、理解度と学習意欲の向上において、仕事への実務を挙げたかたによる評価が高い傾向が認められた。アドバンスプランについてのみ、学修成果の活用可能性として仕事での実務を挙げたかたはそうでないかたと比べて、他の学生に対する推奨度が高い傾向が見られた。具体的事例の導入や実務に直結する内容の強化といった課題はあるものの、実務に生かすことを念頭に学んだ学生にとっては有意義な内容であったものと推察された。
現時点では、数理・データサイエンス・AI の学習の意義をプログラムの修了者がどこまで理解できたかを十分に評価できていない。今後、質問項目を見直し、こうした点についても評価できるようにする工夫が必要だろう。回答を蓄積し、個別の授業科目に対するものも含めて自由記述をテキストアナリシスにより分析することで、現状の項目のままでも本件についても検討を行うことができるかもしれない。わかりやすい授業に向けての課題の抽出自由記述を見る限り、以下の点が問題にされていると判断できる。
これらについては、今後の検討課題とする。なお、初歩的な内容を求める意見については、現在の内容で既に大学の授業として最低限の難度になっており、これ以上の易化は大学の正規の授業としては不適切との意見もありえる。リメディアル教育の充実が求められるところであるが、リメディアル教育と銘打った授業を受けることに抵抗感を持つ学生もいると思われ、微妙な対応が必要になるかもしれない。
放送大学では、体系的に編集された公開講座を修了した方に対して、放送大学が独自の認証を行うキャリアアップ支援認証制度を展開している。現在、「数理・データサイエンス・AI 講座」として「データサイエンス基礎から応用」「数理・データサイエンス・AI
リテラシー講座 導入」「デジタル社会のデータリテラシー」「数理・データサイエンス・AI リテラシー講座 基礎」「数理・データサイエンス・AI リテラシー講座 心得」の 5 講座を開設している。これらはいずれも、数理・データサイエンス・AI モデルカリキュラムの
リテラシーレベルに対応するものである。詳細はhttps://aoba.ouj.ac.jp/rpv/home/default.aspx をご覧いただきたい。
令和 3 年度に開講したこれら5講座の受講者は、個人受講:延べ 1,414 人、集団受講:延べ 2,551 人、総計:延べ 3,965 人となっている。個人受講における科目別受講人数は、以下のとおりである。
現状では明確な判断は難しいが、集団受講には大学によるものと企業によるものが含まれていることから、放送大学の数理・データサイエンス・AI 教材が社会にも受け入れられつつある一つの証左とみることができると考える。
本年度は、佐賀大学理工学部情報部門の掛下哲郎准教授にご意見を賜った。いただいたご意見の要点は以下の通りであった。
プログラムは概ね適切に構成され、運用についても、初年度としては概ね順調に進捗していると評価したい。構成科目の履修者数、履修者の理解度、プログラム修了者の満足度など、主要な指標は概ね良好な結果を示した。但し、佐賀大学の掛下先生よりご指摘を賜ったように、個別の指導の実施、演習等の実施について、今後改善が必要と考える。通信制大学としての放送大学のあり方を考えると、個別指導、演習ともに、容易には対応しがたい事項ではある。しかしながら、同じく掛下先生のご指摘にあるように、2021 年の大学設置基準改定に伴い他大学との連携の可能性が拡大したことを踏まえるなら、連携を前提とした教育制度の導入など、新しい試みを今後検討し、学生の学習環境の改善を進めていくことが必要だろう。
2022 年 5 月 15 日
掛下哲郎(佐賀大学 理工学部)
本報告書は,放送大学が提供するデータサイエンス分野の科目群履修認証制度(学内学生向け)に対する評価結果をまとめたものである.2 節では科目群履修認証制度の全体的な事項に対する筆者の意見およびコメントを示す.3 節では数理・データサイエンス・AI 教育プログラム認定制度におけるリテラシーレベルに対応したデータサイエンスリテラシープラン(以下,リテラシープラン)の評価を,4 節では同認定制度における応用基礎レベルに対応したデータサイエンスアドバンスプラン(以下,アドバンスプラン)に対する筆者の意見・コメントをそれぞれ示す.
本報告書に示した意見・コメントを踏まえて今後の改善に努めることを期待する.