第4回 高校生向けプログラミング学習支援と生成AIの急成長

GPTの進化と今後の展望
山口 高平(神奈川大学 教授)
放送大学では、数理・データサイエンス・AI講座で「言語生成 AI の機能と社会への応用」を公開しています。
このニュースレターでは、山口先生の講義収録後のGPTの最新情報を随時みなさまへ提供することにしました。購読者がお持ちの生成AIに関する情報をupdateするためにぜひこのニュースレターを活用してください。
山口先生は、放送大学 数理・データサイエンス・AI講座で「AIプロデューサ〜人とAIの連携〜」「言語生成 AI の機能と社会への応用」を担当しています。また、放送大学の総合科目「AIシステムと人・社会との関係('20)」の主任講師です。
※この記事は神奈川大学の協力を得て作成しています
本記事では、AI技術の最前線に立つ専門家である山口高平氏へのインタビューをもとに、2024年後半から機能拡充が続いているGPT-4oを中心に解説し、2025年2月に公開されたGPT-4.5および2025年前半までに公開予定のGPT-5の最新動向についても言及します。
前回まで(第1回~第3回ニュースレター記事)のインタビューでは、生成AIの進化がもたらす社会や労働市場への影響について話しました。今回は、最近登場したGPT-4.5の技術的進歩や、今後期待されるGPT-5について掘り下げます。
今回は高校生を対象としたプログラミング学習支援システムについて山口先生に説明いただきます。
第4回 高校生向けプログラミング学習支援と生成AIの急成長
技術動向:2〜3か月で常識が変わる生成AIの進化
生成AIの世界は「日進月歩」どころか「秒針分歩」。山口高平先生が参加されている専門家会議の中でも「2〜3か月前の話はすでに古い」と言われるほど、生成AIの性能は急激に進化しています。対応できる業務範囲も拡大中で、生成AIの現場適用が加速しています。
事例紹介:高校生向けプログラミング学習支援システム
第4回の話題は、高校生を対象としたプログラミング学習支援です。神奈川大学附属高校の授業で、GPT-4oを活用してPythonの基礎問題(例:range関数を使った数列生成)に取り組む学習支援システムを試験導入。生成AIがリアルタイムでフィードバックを返し、誤りを丁寧に指摘してくれます。
教師が介入せずとも、生徒は40分×2コマで10問の課題に挑戦。最後のアンケートでは約70%の生徒が「AIの指導によって、自分の誤りに気づくことができた」と回答し、学習支援効果が確認されました。
特筆すべきは、生徒の自律的な学習姿勢が自然と育まれた点です。AIによる細かなヒントや補足説明が「ちょうどよい距離感」を生み、教師が一人でクラス全体の30人を相手にするよりも効率的かつ柔軟なサポートが実現しました。将来的には学習ログの解析により、個別最適化された学習経路の提案も可能になると期待されています。

使い方のヒント:初学者には“間違いの理由”の説明がカギ
GPT-4oはただ正解を示すだけでなく、なぜ間違っているかを言語的にフィードバックできるのが強み。たとえば関数 range(1, 5) では「5を含まない」という点を指摘し、「1から5まで出力するなら range(1, 6) にすべき」と具体的に教えてくれます。これは従来の教科書的説明を超えた実践的な指導です。

今後の展望:教育×生成AIは“個別最適化”の時代へ
今後は、学習者一人ひとりの理解度やミス傾向に応じてプロンプト内容や課題を自動調整する「個別最適化指導」の実現が期待されています。生成AIが“学習パートナー”となり、教師は“伴走者”となる教育の形が見えてきました。
次回の予告
次回の第5回ニュースレターは4月30日(水)公開予定です。GPT4-oのマルチモーダル進化(文章+画像+音声)とその活用事例を特集。教育、デザイン、ビジネスの各分野でどう活きるのかをお届けします。お楽しみに!